2017年05月10日

vol.213 「 最 後 の 手 紙 」

 ずっと先だと思っていた「213通目の手紙」を書く日が来ました。すこし変な言い方かもしれませんが「その日って必ず来るんだなというのが、今の実感です。
 最初は「100通の手紙」として始めた手紙ですが、途中で自分の社長としての期限を65才とすることを決めた時、65才の誕生日に書く手紙を最後にしようと、中途半端な「213通の手紙」としました。
 1999年8月が1通目の手紙。あれから17年と9カ月です。
 1999年8月といえば、7月に「すし鮮西条店」が開店し、爆発的にお客様が押し寄せている時です。
 私が47歳。会社の一大転機になった「すし鮮西条店」の繁盛の中で、壮年のエネルギーに充ちた私が、これからの会社の成長を期して意気揚々と書き始めたのか、はたまた、先が見えない中での大きな投資に危機感を覚え、みなさんとの連帯感を求めて書き始めたのか、今は、定かではありませんが、たぶん両方だったのでしょう。なにしろ、お客様が多すぎて、それまでの店と売上もケタ違いなら、スタッフの数も3倍の90数人、みんなが疲れ果てているような状況でしたからね。
 そんな中で始めた手紙でしたが、何を書こう、どんな風に書こう、こんなことを書いたらどう受け取られるだろうと、書くたびスタッフみんなの顔が浮かびました。書いては消し、消しては書き、パソコンだからよかったけれど、鉛筆書きでは音を上げたかもしれません。一枚の手紙に3時間はかかっていました。内容はともかくとして・・・・・。
 時々、ほんとに時々ですが、私に手紙の感想を話してくれる人もいました。それが力になりました。
 私の思いを伝えたいと始めた手紙でしたが、どれだけのことを伝えられたのか、思い返すと無力感にとらわれます。
 今期の「経営方針発表決起大会」で私は「人が集まる会社」にしたいと話しました。それはとりもなおさず「働きやすい 働きがいのある会社」であることだとも話しました。「213通の手紙」は、只々そのために始めたと言っても過言ではありません。
 しかし、力及ばず、現実には日本中で人手不足が社会問題になっているように、鮮コーポレーションも人がいない、人がいないと悲鳴が聞こえてきます。しかし、そんな状況でも、人手不足など無縁の会社もたくさんあります。やりがいをもって、いきいきと笑顔で仕事をするスタッフ。会社に誇りを持ち働いているスタッフ。そういう会社と鮮コーポレーションの違いはどこにあるんだろう。
 私は、経営理念に、「夢を叶えよう」「いきいきと生きよう」「私らしく生きよう」「人生の勝者になろう」と掲げていますが、それらが空呪文に終わってしまっているのは何故だろう。私の何がそうさせているのだろうと、今こうして「213通目の手紙」を書きながら自問自答しています。
 今期の課題は「発信すること 伝えること」とも決起大会で話しましたが、私にとっては、「受信すること 聞くこと」が、「人が集まる会社」への、もっともっと大切な道なのかもしれません。
 言いたいこともたくさんあるけれど、聞かなければいけないことは、その何倍もあるのでしょうね。
 社長としての私のミッションは何かと問われれば、経営理念にある「新鮮な日々 鮮やかな人生を生きる」というスローガンを、スタッフみんなが実感できる会社にすること以外にありえません。
 鮮コーポレーションで働くことに誇りを持てる会社であること。何よりも自分自身が誇りに思えること。経営理念が決して絵空事にならないように努力すること。
 そのためには、伝えるための「213通の手紙」を「書く」というコミュニケーションの方法から、みんなの声を「聞く」というコミュニケーションに変えていかなければいけないのではないかと、今思い始めています。
 手紙は今回で終わりですが、鮮コーポレーションのトップとしての西田昌史は、あと2年続けようと思います。67歳までの2年間で、30才で父から引き継いだ店を法人化し、
自ら社長という役職に就いた時から35年の年月がありながらなし得て
いない「人が集まる会社」への道を模索し続けたいと思います。
 17年間読んでいただいたことに感謝し筆を置きます。
ありがとうございました。社長ブログ17.05.jpg
posted by 西田社長の213通の手紙 at 11:21| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月10日

vol.212「 ラ ・ ラ ・ ラ ン ド 」

 映画大好きの私の、「経営方針発表会はアカデミー賞形式でやりたい」、という積年の希望が、今年やっと実現します。「主演男優賞」「主演女優賞」など、それぞれの店の店長に推薦してもらい、そこから5人のスタッフをノミネートして、一人を選びます。毎年、本物のアカデミー賞も、その選考結果に異論がある人たちがいます。私たちのアカデミー賞は、そうならないようにしたいものですが、その時はその時、みなさん大きな心で受け入れてください。
 さて、2月に行なわれた本物のアカデミー賞は私の期待を裏切って「ムーンライト」という作品に決まりました。まだ、その映画は見ていませんが、シリアスな社会問題を扱った重たい作品のようです。
 私は大本命だと言われていた『LA LA LAND ラ・ラ・ランド』を推していたのですが残念でした。
 この映画はミュージカルなのですが、あのタモリに言わせると、なんでもないところで急に歌いだしたり、踊りだしたりするミュージカルは見ていて恥ずかしくなるらしいですね。でも私は、けっこう好きなのです。とくにダンスシーン、大がかりな舞台でのダンスなどは、もう圧倒されて、周りに人がいなければ歓声をあげたいくらいのものです。「ザ・エンタテイメント」そのものです。あの「ウエストサイド物語」などは、何度見たことでしょう。
 で、先日見てきました。ソレイユの「バルト11」。ここの一番大きなスクリーンで見ました。「ラ・ラ・ランド」は大スクリーンで見たいと思っていましたから。これが、また期待を越えて面白かった。大スクリーンならではのダイナミックな冒頭の映像、メルヘンでロマンティックな映像はアメリカ映画ならでは。
 吹き替えなしのライアン・ゴズリンのピアノの演奏。役者ってほんとに凄いですね。息をのむ見事さでした。
 ストーリーはよくある、世の中に受け入れられない若い二人の挫折と出会い、別れ、そして・・・・・・。というシンプルなものです。でも、ラストは自分と重ね合わせてジ〜〜ンとくるものがありました。ネタばれはご法度ですから、くわしく書けないのが残念です。
 楽曲も素敵でした。映画を見終わっても頭の中で、そのメイン・フレーズが繰り返し流れ、仕方ないのでサントラ盤を買い、車で流しながら帰りました。エマ・ストーンのダンスもセクシーで、バックに流れる音楽と一緒に目と耳に焼き付いています。
 ワクワク・ドキドキの2時間でした。こんな素敵な時間を過ごさせてくれる映画というエンタテイメントはほんとに素晴らしい。うちの店で、こんなエンタテイメントを実現できたら、もう何もいらない。こんな映画を見てるとそう思ってしまいます。実は、映画が私が店を作る大きなモチベーションの一つです。
 決起大会が、エンタテイメントに満ちた場になるといいのですが。

1704社長の手紙.jpg
posted by 西田社長の213通の手紙 at 10:23| Comment(0) | 社長から社員に送る213通の手紙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月10日

vol.211「 一 心 一 貫 」

 平成29年3月3日金曜日 11時15分。「すし鮮 呉店 リニューアルオープン」。
 この新生「すし鮮」をどんな店にしていくのか。私の中の大きなテーマでした。見えそうで見えてこない。そんな焦りを抱えながらも、古くなった設備・不自由なオペレーション・需要に合わない客席。という3つの課題を抱えながら改装の計画は進められていきました。
 まず決断したのは、店の中を空っぽにすること。建物だけを残して、粗処理室と事務所以外は全て壊しました。金額は倍かかります。工事期間も3週間が7週間に伸びます。ということは、その間売上がゼロということです。思い切りました。時代に合った「すし鮮」を作りたいという思いが勝ちました。
 次に決めたのが、漁師町の呉に似合う店にすること。「港に入る漁船・荷揚げされる魚・威勢のいい掛け声」。店舗デザイナーの神谷さん、辻岡さんから内装・看板が提案されます。ああでもない、こうでもないと話すうちに、イメージが固まります。漁船・波・トロ箱・・・・。
 そこで打ち出したのが、以前から私の中でくすぶっていた「鯛を売ること」。庄原という山の中とはいえ親父の代から広島で魚屋を営んできた私にとっての「魚の王様」は「鯛」です。「まぐろ」ではありません。
 しかし、養殖鯛が出回るようになり「鯛」の影は薄くなるばかり。広島の回転寿司は「鯛」で勝負するのが本筋だ。そんなことを思いながら愛媛の宇和島にある吉田町漁協が経営されている養殖場に川戸部長たちと行ってきました。そこで案内して頂いた漁師さんは、この朝も漁に出られていたそうです。穏やかな瀬戸の海で泳ぐ養殖の鯛は一つの筏で一万匹もいるとのことでした。一匹1000円としても1000万円。一見、平穏な海も、赤潮が発生したり、台風で海が荒れると全滅です。大きなリスクを抱えての勝負です。餌の吟味、集荷の苦労、養殖業の大変さを教わりました。こんなに苦労して育てた鯛を、私たちはもっと価値をつけて売ってあげなければいけないと本気で思いました。安売りなどとんでもないことです。「はまち」もそう。瀬戸内で一番ポピュラーな刺身は「はまち」です。しかし、「鯛」と同じように、その価値は不当に扱われています。こんなにおいしい「鯛」や「はまち」が脇に追いやられているような現状は広島の魚屋、回転寿司屋として黙って見過ごすわけにはいかない。「まぐろ」や「サーモン」に負けない店の看板にしようと決心したのです。そして「小いわし」。他県で食べれない代表選手が「7度洗えば鯛の味」と言われる「小いわし」。昔は行商のおばちゃんが自転車の荷台で刺身にしてくれたものです。言わば広島の風物詩。一番はやっぱり、広島で漁が解禁される夏のものですが、瀬戸内海を通して見ると、一年を通して漁があると川戸部長が言います。この味は他県の人にも絶対に味わって欲しいと思い、「鯛」「はまち」と共に「すし鮮の瀬戸の3大名物」の一つとして売り出すことにしました。
 社長ブログ17.03.jpg店は少しずつ形になっていきました。そして、メニューブックを作る段になり、単にメニューを載せるだけではない、私たちの思いを感じてもらえるものを作ろうと知恵を絞りました。松江のグラフィックデザイナーの萬波さんにお世話になり、吉田町漁協の漁師、松浦さんの協力を得て「漁師の心意気」を載せ、「素材へのこだわり」としてお取引きいただいている「センナリ」さん「川中醤油」さん、「米蔵サンワ」さんの名前を使わせて頂きました。
 そして店が完成に近づいたころ、私の頭に「一心一貫」という言葉が降りてきたのです。私の思いを一言で表現する言葉は無いかと、「呉店」のリニューアルを決断してからずっと頭の中に置いていたテーマの答えが、この「一心一貫」でした。
 『一心に一貫の寿司を握る。その心意気』
 『一貫の寿司に漁師さんを始め、たくさんの人たちの一心が込められている。その感謝』
「すし鮮」をどんな店にしていくのか。「一心一貫」が私たちの旗印です。

posted by 西田社長の213通の手紙 at 09:56| Comment(0) | 社長から社員に送る213通の手紙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。